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糸の張力(質量の無視できるものから質量を含むものまで)-物理学科の物理解説部屋-

第1章:静力学

1.4:糸でつながれた物体

1.4.1:糸の質量が無視できるとき

前回まで扱ってきた垂直抗力は押す力だったが、今回からは引く力である「張力」について考えていきたい!!

じゃあ、まずは手が糸を引っ張っている時を図にして考えていこう。

 

 

作用・反作用の法則はどんな時にも成立していることが図1からわかると思う。

 

もし、この手を右や左に移動させても図1は変わらないということが直感的にわかると思う!

 

ということは、糸の質量を無視できる時、糸の張力はどこでも同じになるんだ!!

 

図2に注目するとより明確にこのことが理解できると思う。

 

 

糸には図2に示されている力しか存在しないわけだから、糸が張っている状態では2つの力が同じ大きさで逆向きということがわかる!

糸の両端を持つ時と、中心部分を持つ時とでこの関係は変わらない。

だから糸の張力はどこでも同じということが想像できると思う!

 

また、張力とは文字通り「ピンと張っている時の力」な訳だから、たるんでいる時には働かないことにも注意してほしい!

 

そして、張力を表すTという記号はtension(張力)という英単語の頭文字を取っているということもここで紹介しておく。

 

物理に出てくるアルファベットの記号には必ず意味があるのでなんとなくで使うのではなく、意味を知った上で使うようにすると物理学に対する理解も早まると思うので、積極的に調べるようにしよう!

 

以上のことを理解できたらぜひ、下の練習問題に取り組んでみて欲しい!

 

練習問題

図3のような状況で物体に働く力を図示し、つり合いの式から各物体に働く張力を求めよう。

物体A,B,Cの質量はそれぞれ\(m_A,m_B,m_C\)とする。

 

解答は以下のURLで問題を考えた上で確認して欲しい!

 

 

1.4.2:糸に質量があるとき

この章は物理を苦手とする高校生にとっては少し難しく感じることがあるかもしれないので、まずは飛ばして次の章を読むことを勧めます!

対象者は物理学を深く理解したい高校生、物理の授業がある理系大学生です!!

 

それでは、いきましょう!!

 

今回の章ではタイトルにある通り質量のある糸について学んでいきます。

ここで大事になってくる考え方は「微小区間に分けて計算し、後で積分をする」というもの。

この考え方は大学になると多くの人がつまずく、微積物理の初歩的な考え方なのでとても重要です!!

なので、大学の物理に慣れるための準備運動として読み進めていって欲しい!

 

では、次の状況を想像してみよう!

 

糸の上端を\(x=0\)とし、そこから下にどれだけ移動したかを\(x\)で表す。図4はその時の状況を表している。

 

 

ここから、位置の関数\(x\)と糸の張力との関係式を作っていきたい!

 

方法1(高校物理)

ある場所よりも下にある物体に働く重力を考える。

その場所を点Pとすると図5のような状態になると思う。

 

糸の密度が\rhoのとき、点Pより下には質量mの物体と長さ\(L-x\)の糸がある。

だからこの部分の重さは

\(m+ \rho(L-x)\)

これより、力のつり合いから

\(T=(m+\rho(L-x))g\)

この式からxが増加すると、張力Tは小さくなる

つまり、「下に移動するとそれよりも下にある物体の質量が減る」ということがわかる。


方法2(大学物理)

糸の非常に短い部分に着目!!

ここを\(\Delta x\)(微小区間という意味)とした時、この微小区間にかかる力を考えていく

 

考えるべき力は以下の3つ!

  • 重力:質量が\(\rho\Delta x\)だから、\(\rho\Delta x g\)
  • 上端での張力T
  • 下端での張力T’

 

これらのことを考慮すると図6のような状況が考えられると思う。

 

この3つのつり合いの式は

\(T=\rho\Delta x g+T’\)   ⇨   \(T’=T-\rho\Delta x g\)

 

この式が表しているのは

下から働くT’の方が\(\rho\Delta x g\)だけTより小さい

下に\(\Delta x\)移動すると張力は\(\rho\Delta x g\)減る

 

以上のことをグラフにすると、図7のような右下がりの直線になる。

 

 

つまり、長さ\(\Delta x\)だけ下に移動する間にTが\(\rho\Delta x g\)減ったということから、「x-Tグラフの傾きが\(-\rho g\)の直線になる」ということがわかる。

 

このことを数式で表現すると

\(T=C-\rho g x\)  (Cは定数)

このCという定数は後で確定させるので、今は置いておこう。

今の状況を整理すると、傾きは分かっているけどT切片は分かっていないということ!!

 

ここで定数Cを決めていこう!

残された条件は「x=Lならば、T=mgである」ということ。つまり

\(mg=C-\rho g L\)

よって、

\(C=mg+\rho g L\)

これを、T=C-\rhogxに代入すると

\(T=mg+\rho g L-\rho g x\)

 

方法1は高校生ができるべきやり方

方法2は大学生ができるべきやり方です!!

方法2の考え方がこれから大学生がやっていく微分方程式を解くという考え方の基礎になっていきます!ぜひ、解説を読み込んで考え方を身につけて欲しいです!!

 

まとめ

質量の無い糸
働く張力はどこでも同じ

 

質量のある糸
働く張力が場所によって違う。
→糸にも質量があるため場所によって重力が変わるから

 

以上のことをまずは押さえておこう!

 

オススメ参考書

高校生向けのオススメ参考書はこちら!!

大学生向けのオススメ参考書はこちら!!

各講義の後にこれらの参考書で問題演習や対応する章を読んで理解を深めましょう!!



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    とある東京の国立理系大学に在学。

    物理工学を専攻中。

     

     



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